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メッセージ・フロム・モリヒコ

 
焙煎師

真冬の外気温はマイナス15度
釜出しした瞬間立ち込める蒸気
そしてコーヒーの薫り
珈琲は北に行くほど美味しくなる
それはある詩人の言葉

 

凛とした空気の中で。

北国、北海道はコーヒーを志すものにとって聖地です。北海道は年間を通し湿度が低くまた台風などの低気圧も本州に比べると非常に少ないのが特徴です。そのためコーヒーの焙煎にはとても都合が良い土地です。コーヒーを焙煎する時にはとても神経を使います。とりわけ湿度や低気圧には細心の注意をはらいます。森彦のコーヒーを一言でいえば「量感豊かで、甘味を感じるコーヒー」です。そのように感じるコーヒーは、空気のきれいな北国で丁寧な仕事のもとはじめて作られると思うのです。コーヒーは「悪魔の飲物」と形容されることがあります。恐らくはもともと異教徒の飲物であったことと液体の色が黒いというところから連想されたのでしょう。しかし私はコーヒーは「天使の飲物」ということを知っている者の一人です。それは太陽が頭上に輝く正午を頂点にして最高の出来のコーヒーが焼き上がるからです。何故なのかは気象学者に聞いてみる他はありませんが、コーヒーの焙煎は生涯を通して研究すべきこと、学ぶべきことが多くそれに携わることが出来る幸せを感じます。

物語りを感じる。そんなコーヒーを作り続けたい。

夜空を見上げると幾多も星が瞬いています。その中でも恒星のように自ら光り輝く星があります。皆様にお届けするコーヒーは私の中では恒星と同じように自ら強く輝いているコーヒーです。よいコーヒーを見つけるには実際に豆を買い付け何段階かに分けて焙煎し、その度に飲んでみなければなりません。地道ですがこうして年に数種のコーヒーを発見します。私がよいと思うコーヒーとは豊かな個性が感じられ、さらに飲み手を試すコーヒーです。そんなコーヒーとの出会いをいつも期待しています。ロースターとして皆様にお伝えしたいことは、そのような個性豊かなコーヒーを正しい焙煎によりしっかりと引き出し、お客さまに北国にある森彦のストーリーと共に味わっていただくということに尽きます。そのためにも良質な豆を世界中から見つけだし、さらにこの土地で丁寧に焙煎し皆様に届けたいと思います。

モリヒコはカフェでもあり、またロースターでもあります。

モリヒコのコーヒーは流行ではなくトラッド(伝統的)であり続けたいと思います。カフェのスタイルは時代とともに流行があるものです。しかしコーヒーの本物の味は普遍のものです。かつて自分が本物のコーヒーに出会い感動したように、本物のコーヒーとは飲まれた方が一応に感動をおぼえるものです。モリヒコと他のロースターとの違いは「モリヒコはカフェでもありロースターでもある」ということに尽きると思います。私はカフェという現場で自分の焙煎したコーヒーをお客様に提供しています。そしてコーヒーを通した対話を毎日の仕事にしています。そうした自分の仕事がダイレクトに伝わる「カフェ」を営んでいることに誇りを感じています。カフェの運営で一番うれしい瞬間は、自分たちが手塩にかけた空間にお客様を招き入れお客様が高揚を抑えきれずに満足を表現していただく時と言っても過言ではありません。そのためにもコーヒーには虚飾や偽わりがあってはならないと思います。お客さまのご期待を裏切らない、そのために私は焙煎を始めたことを生涯忘れまいと思います。

森彦物語のオープンによせて
モリヒコ代表 焙煎師 市川草介

 
 
大通公園にて
アトリエから近く、大通公園にて。

インタビュー
interview

−森彦さんといえば、円山にある木造民家の森彦さんですね。アトリエモリヒコは一昨年オープンしましたがこれはどのような経緯から?−

森彦も創業10年目でそろそろ街寄りにもう一店作りたいというようなことを友人達の集まりでなにげに話したところすぐに噂が立っちゃった。それで急に本気になったんです。笑 もともと焙煎するための工房がほしかったのですがイメージを膨らませるうちにケーキ工房も作りたい、エスプレッソマシーンも置きたいとどんどんスケールが大きくなって。笑

−円山にある森彦本店とは趣が随分違いますがみなさんの反応はどう?−

「意外」という人と「納得」という人とに別れますね。森彦は昔はあたまに「茶房」がついていたんですがこれはもともと茶室を原点にしていからなんです。アトリエモリヒコは「サロン」をイメージしていて完全に洋の世界にしました。お客さまはその両方の違いを愉しんでいるみたいですね。椅子やテーブルといったカフェの大切なアイテムは共に年季のいったものだしコーヒーの味もスタッフのおもてなしの心も何も変わりません。両店の違いと共通点。陰と陽で一つの世界を楽しんでもらえたらいいですね。

−アトリエモリヒコのコンセプトと店内の白いイメージは?−

最初から街中でお店を作るのなら本店とはまったく別のカフェにしようと思っていたんです。と言うのは本店は近くに円山公園、裏参道や遊歩道、裏路地、観音さんというようなストーリーがあるから出来たお店です。それは街中では無理でしょう? それなら今度は街の中で最大限のストーリーを感じさせるお店にするしかないと・・・。2号店のストーリーはちょうど街の中心地と郊外の中間にある、言わば峠の茶屋の現代版。ガラス越しに路面電車が行き交い近代的なオフィス郡もあります。そういった歴史のあるものや新しいものがクロスオーバーする雰囲気が丁度この辺りなんです。それから白のイメージということですが、ここは北国ですから「雪」のイメージですね。白い壁のカフェはいっぱい有るけれど白を意識したカフェはそうはないでしょう? だから思いっきり「白の世界」を意識しました。笑 またこの白い壁には絵も何も飾らない。ここの空間でお客さまが一杯のコーヒーを飲んでくつろがれているその姿が一枚の絵のようになればいいなと思って。

2号店アトリエモリヒコ
2号店アトリエモリヒコ
 
 
 
2号店アトリエモリヒコ
2号店アトリエモリヒコ

−ショッピングサイト「森彦物語」はどうして作ることになったの?−

これは今から3年ほど前に全国誌に森彦のコーヒーが掲載された時、自分ではそんなに売れないだろうと数を作らなかったんです。そうしたら次々と追加のオーダーが入って。しかもほとんどが北海道以外のお客さまからでこれは本当にうれしかった。何年も店を続けているうちに森彦にも全国からお客さまが大勢ご来店いただいていたってことに今さらながら気がついたんです。今も大勢の方がご旅行で森彦に立寄られた後また森彦のコーヒーが飲みたいとオーダーをいただくので、それなら観て面白くもっとストーリーの感じるサイトを創ろうと・・・。

−「森彦物語」はどんなところにこだわりを?−

サイトにこだわるというよりも自分が手塩にかけて焙煎したコーヒーのストーリーを伝えたかったんですよ。だってコーヒー豆を扱うサイトはいっぱいあるでしょう? だから森彦のサイトはコーヒーを買っていただくのではなくストーリーを買っていただく。それとサイトも実店舗とまったく同じでストーリーを感じなければ僕はやってられない性分。笑 

−最後に「森彦物語」をみてくださったお客さまへメッセージを−

毎年、森彦は沖縄、四国、西日本、東日本と全国からお客さまが大勢ご来店いただくまでになりました。当初自分の思いだけで立ち上げた小さなカフェが気がつけばそんな自分の小さな思いを超えてお客さまにさまざまな記憶や思い出を残す場所となりました。森彦創業3年がたった頃でしょうか、森彦の定休日に大きな旅行カバンを携えたお客さまがクローズの案内が下がった入口に呆然と立ちすくんでいた姿を今も忘れません。その時から森彦はすでに「自分の店」を超えみなさんの共有財産になりました。現在は休み無し、これがお正月の3日間以外は年中無休のエピソードです。森彦で過ごされた一時を森彦のコーヒーで思い出していただく。また純粋に美味しいコーヒーが飲みたいとオーダーされるお客さまも作り手としてはうれしいことです。いずれにしても北海道へお越しいただけないお客さまにとってあなたと森彦を取り持つ縁がこの「森彦物語」だと思います。先ずは「森彦物語」をごゆっくりご覧いただければと思います。

November/2007

2号店アトリエモリヒコ
本店森彦